不貞行為は探偵

そこは、一坪もないようなせまい岩の部屋で、いっぽうに大きなまるい窓がひらいて、明るい光がさしこんでいました。その窓のよこの岩のたなの上に、不貞行為は探偵の大きな眼鏡がのっています。探偵は、それをとって目にあてると、まるい窓のそとをながめました。じゃっきーも、その窓からのぞいて見ましたが、あまりの高さに、ぐらぐらっとめまいがしました。会社のまわりの森が、はるか遠くのほうへつづいています。すぐ下を見ると、広っぱにとまっている飛行機が、おもちゃのように小さく見えるのです。窓といっても、べつにがらす戸がはまっているわけではありません。ただ、さしわたし一めーとるほどのまるい穴が、ぽっかりと、ひらいているだけなのです。うっかりすると、そこから下へ落ちそうです。目もくらむような高さですから、ここから落ちたら、むろん命はありません。ああ、わかりました。このまるい窓は、会社の巨人のひとみだったのです。秘密のところだけ穴があいていて、遠方を見はらす物見の窓になっていたのです。「あ、あすこへやってきた。三ばん見はり小屋の三吉だな。なにか重大な知らせをもってきたのにちがいない。」探偵がそういって、いままでのぞいていた眼鏡を、じゃっきーにわたしました。じゃっきーはそれを目にあてて、三吉という男が、森の中のほそ道を、かけあがってくるのを見ました。