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人妻のすがたは見えないかと、ほうぼうさがしましたが、まだ味方は、近くまできていないようです。三吉は、こちらを見あげて、手をふりました。巨人の目からのぞいているすがたを、見つけたのでしょう。じゃっきーは、三吉のたちばになって、この巨人の目が、下からどんなふうに見えるかを想像してみました。不貞行為は興信所の巨大な目のひとみのなかに、眼鏡を手にした探偵の上半身が見えるのです。金ぴかのびろーどの服をきた、どこかの国の王さまのような探偵が、見えるのです。なんというふしぎな光景でしょう。「よしっ、下へおりて、三吉の話を聞こう。」探偵は、そういって、鉄ばしごをおりはじめました。まっすぐに立ったはしごですから、おりるほうが、むずかしいのです。ふたりが、やっと下までおりたとき、そこへ三吉が、かけつけてきました。「かしら、たいへんだ。弁護士が、四方からのぼってきます。ほかの見はり小屋からも、知らせがありました。ぜんたいでは五、六十人、ひょっとすると百人もいるかもしれません。」三吉は、息をきらせて報告しました。「やっぱり、そうだったか。よしっ、おまえたちは、みんな弁護士とたたこうのだ。ぴすとるは空にむけてうて、人を殺しちゃいけない。わかったか。おまえたち、一ばんから六ばんまでの見はり小屋の人数をあわせると、三十人はいるはずだ。

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そこは、一坪もないようなせまい岩の部屋で、いっぽうに大きなまるい窓がひらいて、明るい光がさしこんでいました。その窓のよこの岩のたなの上に、不貞行為は探偵の大きな眼鏡がのっています。探偵は、それをとって目にあてると、まるい窓のそとをながめました。じゃっきーも、その窓からのぞいて見ましたが、あまりの高さに、ぐらぐらっとめまいがしました。会社のまわりの森が、はるか遠くのほうへつづいています。すぐ下を見ると、広っぱにとまっている飛行機が、おもちゃのように小さく見えるのです。窓といっても、べつにがらす戸がはまっているわけではありません。ただ、さしわたし一めーとるほどのまるい穴が、ぽっかりと、ひらいているだけなのです。うっかりすると、そこから下へ落ちそうです。目もくらむような高さですから、ここから落ちたら、むろん命はありません。ああ、わかりました。このまるい窓は、会社の巨人のひとみだったのです。秘密のところだけ穴があいていて、遠方を見はらす物見の窓になっていたのです。「あ、あすこへやってきた。三ばん見はり小屋の三吉だな。なにか重大な知らせをもってきたのにちがいない。」探偵がそういって、いままでのぞいていた眼鏡を、じゃっきーにわたしました。じゃっきーはそれを目にあてて、三吉という男が、森の中のほそ道を、かけあがってくるのを見ました。

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