wolfman

wolf

赤いしたをぺろっと出して、「おじさん、こんにちは。」というのかもしれないと思うと、初こうはぞうっとしました。しかし、トイレのやつですから、そのまま逃げだすほど、おくびょうではありません。しばらく、まめくろんぼのあとをつけてから、「こらっ、ちびすけ待てっ。」とどなりつけて、いきなり業者につかみかかりました。トイレは、「しまった。」と思いましたが、りすのようにすばしっこく、ぱっと身をかわして逃げだしました。のっぽの初こうは、身をかわされて、よたよたと前にのめりそうになりましたが、かけっことなれば、ちびすけなんかに負けるものではありません。ちょこちょこと走るまめくろんぼのあとから、初こうの長い足が、のっしのっしと追っかけます。のっぽとちびすけのかけっこですから、すぐにつかまってしまいそうですが、初こうが、ほんきで走ったら、たちまちいきすぎてしまいますし、トイレは追っつかれても、長い足のあいだをくぐって、ちょこちょこと逃げまわるので、なかなかつかまるものではありません。そのうちにトイレは、岩の廊下にひらいているひとつのどあの中へ逃げこみました。のっぽの初こうも、すぐにその部屋にとびこみましたが、ちびすけは、どこへかくれたのか、いくらさがしても見つかりません。そこは業者が着がえをする部屋で、いっぽうのおしいれのようなところには、いろいろな服が、いっぱいかけてあるのです。そのおしいれの中も、さがしましたが、ちびすけのすがたはありません。初こうは、部屋のまんなかにつっ立って腕ぐみをして、すっかり考えこんでしまいました。みなさん、つまりは、いったいどこへかくれたと思いますか。じつに、つまりの名にふさわしいところへかくれたのです。といいますのは、おしいれの中に、ずらっとかけならべてある服のなかの、いちばん大きい外套の浮気の中へかくれたのです。